ドイツ陸軍将校であり、第一次世界大戦では旅団長として従軍し、後に、ミュンヘン大学の地理学と軍事学の学部長となったカール・ハウスホーファーは、ラッツェルらの従来の大陸国家系地政学の研究を踏まえて自給自足を重視する観点から生存圏の理論を論じた。従来の地政学とは異なる点を以下に述べる。
・国家は、その国力に応じたエネルギーを得るための領域、すなわち、「生存圏」を獲得しようとするものであり、また、それは国家の権利である。
・自給自足をより確実に維持するために、「生存圏」とは別に、「経済的に支配する地域」の確立が必要である。すなわち、国家の生存のために必要な生存圏とは別に、経済成長を続けるための植民地のような経済的支配地域の獲得が必要である。
・経済的に支配する地域は、宗主国の国力や位置から、「総合地域」と定義され、その領域は以下のように考えられる。アメリカが支配する南北アメリカ大陸を含む汎アメリカ総合地域、日本が支配するロシア領を含む北極圏から中国を経てオーストラリアにいたる汎アジア総合地域、ドイツが支配するヨーロッパからアラビア半島を含めたアフリカ大陸を含む汎ユーラフリカ総合地域、ソ連が支配するユーラシア大陸北部から南部に至る汎ロシア地域がある。
ハウスホーファーの生存圏の理論は、国家が発展するためには小国の権益を武力で奪取することも厭わず、自給自足のためには重要な経済拠点を経済的に支配するという考え方を正当化するものであると現代においては批判される。しかし、こういった政策は彼の独善的な考えではなく、第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約においては戦勝国によって行われたことであった。しかし、科学としては彼がドイツ民族を常に念頭において研究を行ったために客観性を欠くところもあると考えられている。
参照元:ウィキペディア「地政学」
参照元:ウィキペディア「地政学」
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